今回は脳梗塞の病態の中でも、心原性脳塞栓症についてお話していきます。
ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞に比べ、心原性脳塞栓症は発症率が低いですが、発症すると重度な後遺症をきたしやすいため、非常に重要な病態になります。
今回参考にした書籍を掲載しています。是非参考にしてください。
今回の内容
- 心原性脳塞栓症の病態
- 出血性梗塞のリスク
- 心原性脳塞栓症の原因と予防
心原性脳塞栓症の病態
心原性脳塞栓症は、心臓で作られた血栓が血流に乗り、脳動脈を閉塞・狭窄することで生じます。
ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞と比べ、血栓が大きいため、血管内径の大きい内頚動脈や中大脳動脈といった、主幹動脈に生じやすいとされています。
心原性脳塞栓症では、大きい血管が詰まりやすいため、脳梗塞が生じる部位もかなり広範囲となるため、それによる症状も重度である可能性が高いと言えます。
また、心原性脳塞栓症は急激に発症するため、アテローム血栓性脳梗塞のお話で出た側副血行路は発達していないことが多く、血管の機能代償ができないことから、症状もより重度である可能性が高いと言えます。
出血性梗塞のリスク
出血性梗塞とは、血管の閉塞や狭窄により脳梗塞を起こしていた領域に、血流が再開通することで、その領域に脳出血が生じることである。
脳梗塞が生じると、閉塞した血管部分よりも末梢の血管は虚血状態に陥ります。
虚血状態となった血管は栄養が無くなるため、脆くなります。
その状態で血流が再開通することで、脆くなった部分から出血が生じることになります。
ラクナ梗塞やアテローム血栓性脳梗塞でも出血性梗塞のリスクはあるようですが、特に心原性脳塞栓症後の血流の再開通ではその頻度が多いとのことです。
心原性脳塞栓症の原因と予防
心原性脳塞栓症の原因では、心房細動が最も多いとされています。
その他の原因として、急性期心筋梗塞、人工弁、拡張型心筋症、感染性心内膜炎、左室壁運動消失などがあります。
このように、心原性脳塞栓症の原因は持病に心臓の病気を持っていることが原因として挙げられます。
心臓に持病のある方は、心原性脳塞栓症にならないためにも、定期通院の継続や内服調整を厳守するなどの管理やコントロールが重要になります。
時折、心臓の症状が無いからといって自己判断で通院を終了したり、薬の内服を止めたりする方がいらっしゃいますが、心臓の症状が無くても、このような心原性脳塞栓症などの二次的な病気を発症する可能性があるので、自己判断で治療を中止するのはやめましょう。
まとめ
- 心原性脳塞栓症とは、心臓内にできた血栓が塞栓子となって生じる脳梗塞。
- 心臓内にできる血栓は大きいため、主幹動脈に塞栓が生じやすく、また急激に発症するため側副血行路は発達していないことから、心原性脳塞栓症は広範囲かつ重度な症状を呈しやすい。
- 心原性脳塞栓症後は、血管の脆弱性から血流の再開通により、出血性梗塞を合併することが多い。
- 心原性脳塞栓症の原因として、心房細動(Af)が最も多いとされている。
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