今回から、画像読影についてシリーズで投稿していきます。
どの分野においても、画像の読影は評価の中で重要な項目になります。
皆さんと一緒に理解を深めていけたらと思います。
また、今回はレントゲン画像について基礎をお伝えしていきます。
次回以降でCTやMRI、エコー画像についてのお話をしていく予定です。
- リハビリ専門職が画像を診れないといけない理由
- 画像読影の注意点
- レントゲン画像とは
- レントゲン画像における各組織の写り方
- レントゲン画像のデメリット
リハビリ専門職が画像を診れないといけない理由
画像からは多くの情報を得ることができます。
①外傷や損傷の重症度
②予後予測
③手術後であれば術式の確認
④リスクの把握
⑤機能障害の予測
⑥残存機能の予測
などといった情報が画像から得ることができます。
特に、整形分野や脳血管疾患など、どの分野においても、患者様の現象や検査測定のみでは、その現象や問題点、予後について考えていくのは、特に急性期や回復期では難しいと思われます。そこで、画像読影が非常に有用になります。
レントゲン画像とは
1895年に、ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲン氏によってX線の発見が報告されました。
この功績を讃え、レントゲン博士は1901年、第1回ノーベル物理学賞を受賞しました。
このレントゲン博士の名前に因んで、『レントゲン画像』と呼ばれるようになったようです。
レントゲン画像は、X線画像(検査)やX-p(X-ray photography)と呼ばれることも多いです。
レントゲン画像の撮影方法は、イメージングプレートといわれる板の上に、写したい部位を乗せ、イメージングプレートに向かってX線を照射します。
その際のX線の透過具合でレントゲン画像の写り具合が決定します。
レントゲン画像における各組織の写り方
レントゲン画像は、イメージングプレートといわれる板に向けてX線管球からX線を照射します。
イメージングプレートとX線管球の間に写したい対象部位を置き、対象部位を撮影します。
身体の各部位は、X線の透過程度で写り方が変わります。
X線が透過しやすい部位は黒く写り、X線が透過しにくい部位は白く写ります。
簡単に言うと、硬い部位ほど白く写るということです。
・人工関節などの金属 ⇨ 白
・空気 ⇨ 黒
・骨 ⇨ 白
・筋肉 ⇨ 灰色
主要な部位は上記のように撮像されます。
THAやTKAのような金属はX線が透過しにくいため、白く写ります。
一方で、肺など空気を多く含む部位では、X線はイメージングプレートまで透過しやすいため、黒く写ります。
レントゲン画像のデメリット
ここまで、レントゲン画像の原理や各組織の写り方について説明をしてきました。
そんな簡便に体の状態を写すことができるレントゲン画像ですが、デメリットも存在します。
大きなデメリットとしては、『レントゲン画像は平面であり、奥行きがわからない』ということです。
レントゲン画像は、平面であるため、重なった部分の評価は難しいです。
例えば、心臓の左心部分の後方には心臓が存在します。心臓は肺よりも透過性が低いため、白く写りますが、心臓の後方の肺野に肺炎などの病変があった場合、心臓が白く写っている部分と重なっているため、肺病変を確認することは難しいです。
そういった、レントゲン画像のデメリットを改善するために生まれたのがCT画像になります。CT画像については、また次回以降にお話をしていきます。
ちなみに、レントゲン画像といわれると、『レントゲンはX線だから、撮影しすぎたら体に有害なのでは?』という疑問です。
身体に影響が出るといわれているX線量は、『200mSV以上の被ばく』といわれています。一方で、レントゲンを1回撮影した場合、0.06mSvのX線量を被ばくするといわれています。
では、単純に3,333回レントゲンを撮ると、有害となる200mSvを越えてしまうではないかと考えてしまいますが、レントゲン撮影のような医療被曝では、X線は体の中をすり抜けるので、体の中には蓄積されません。
実際に、レントゲン撮影によって身体異常が生じたり、癌が発生したという報告はありません。そのため、レントゲン画像には回数制限はありません。